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最高裁判所大法廷 昭和24年(新れ)252号 判決 1950年11月22日

主文

本件上告を棄却する。

当審における訴訟費用は、被告人の負担とする。

理由

弁護人島田武夫の上告趣意第一点について。

所論は第一審判決言渡の効果である被告人の身柄の釈放に関する批難であって、原判決の法令違反を主張するものでないから、上告適法の理由となり得ない。(なお、被告人は原判決の言渡当日釈放されたことは東京高等裁判所第一二刑事部裁判所書記官寺田浩の報告書で明らかである。)

同第二点について。

所論は単なる訴訟手続の違法を主張するものであるから、明らかに刑訴四〇五条に該当しないものである。

同第三点について。

所論引用の判例は、被告人の前科の有無を必ずしも前科調書により判断しなくてもよいというのであって、第一審判決後に取り寄せた前科回答書を控訴審が判断の資料としてはならない旨判示したものではないから、原判決を目して所論最高裁判所の判例と相反する判断をしたものとすることはできない。

よって刑訴四〇八条により弁論を経ないで上告を棄却することとし、同一八一条により当審における訴訟費用は全部被告人の負担とするものとす。

以上は裁判官全員一致の意見である。

(裁判長裁判官 塚崎直義 裁判官 長谷川太一郎 裁判官 沢田竹治郎 裁判官 霜山精一 裁判官 井上登 裁判官 栗山茂 裁判官 小谷勝重 裁判官 島 保 裁判官 齋藤悠輔 裁判官 藤田八郎 裁判官 岩松三郎 裁判官 河村又介)

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